屋根材の種類
屋根材は使われる素材により4つに分類されます。
粘土系の《瓦》
スレート系の《化粧スレート・天然スレート》
金属系の《トタン・ガルバリウム・ステンレス・銅板・チタン》
セメント系の《プレスセメント・コンクリート》
粘土系《瓦》
瓦は粘土を焼いたもので、大きく分けて三種類あり、
釉薬の使用の有無により、陶器瓦(釉薬瓦)と素焼き瓦に別れ、
さらに釉薬を使わずにいぶしたものをいぶし瓦といいます。
陶器瓦(釉薬瓦)|釉薬を使い焼いたもの
素焼き瓦|釉薬を使わず焼いたもの
いぶし瓦|釉薬を使わず焼きそのあと蒸し焼きにしたもの
形は、J型・F型・S型と種類があり、それぞれに特徴があります。
J型
昔ながらの伝統的な和風の瓦で、「J」はJapaneseの「J」です。瓦屋根の家を想像した時に思い浮かぶ形だと思います。
F型
平たい形の瓦で、「F」は平面を意味するフラットに由来します。スッキリとした印象に仕上がります。
S型
「S」はスパニッシュが由来です。もともとは山と谷が別々に構成されていたスパニッシュ瓦を改良し、一枚の瓦で形成する事で、施工性・コストパフォーマンスが向上しました。洋風の住宅に多く使われます。
瓦は耐久性があります。
他にも、耐水性・耐火性・防音性・断熱性・等々、様々な性能が確認されています。
*詳しく知りたいと思われる方は、
全瓦連のウェブサイト内(こちら)の「瓦屋根について」■瓦の性能・各種瓦の紹介をご覧ください。
また屋根の下地と瓦の間に空気層があるので通気性が良い。
そしてこの空気層のおかげで断熱効果があり、夏は熱を通しにくく、冬は結露を防ぎます。
四季がある日本の風土に適した屋根材です。
良いところばかりの瓦屋根ですが、残念ながら、
地震に弱い・価格が高いなどのイメージから、最近ではあまり使われなくなっています。
「地震に弱い」と思われている理由は、
屋根材の中では一番重量があるので、屋根が重くなり、揺れが大きくなると思われていること。
ですが、建物の構造がしっかりしていれば、瓦屋根でも耐震性に問題はないと言われています。
建物の構造と地盤の弱さが、地震で家が倒壊する原因であって、
瓦だから倒壊する、軽い屋根材だと倒壊しないということではありません。
「瓦は高価」だと思われている理由は
瓦以外の屋根材に比べると、瓦工事の材料費・施工費は高くなるということ。
ですが、20年・30年と長い目で見た時には、メンテナンスの容易さなどを考えれば、
トータルコストの差はそこまで大きくないと思います。
スレート系《化粧スレート・天然スレート》
《化粧スレート》
化粧スレートはセメントと繊維などを混ぜて形成した屋根材で、
現在の新築の屋根で、一番使われている屋根材ではないでしょうか。
商品名で「コロニアル」や「カラーベスト」がありますが、聞いたことのある方も多いのではないかと思います。
軽くて強い・選べるデザイン・優れた防災性能などが特長です。
屋根材の中では、材料費・施工費ともに他の屋根材に比べ安価なのも人気の理由だと思います。
スレート屋根材は、種類や品質により耐用年数が違ってくるようです。
また2004年にアスベスト(石綿)の使用が全面的に禁止になり、
2004年以降に製造されたスレート屋根材にはアスベスト(石綿)は含まれていませんが、
アスベスト(石綿)含有材に比べると、強度や寿命は下がっているようです。
《天然スレート》
名前のとおり、天然の石を加工して作られる屋根材です。
高価な素材で、現在ではあまり使われていません。ほとんどが輸入品だそうです。
金属系《トタン・ガルバリウム・ステンレス・銅板・チタン》
最近よく使われるようになってきた屋根材です。
素材により、価格も違ってきます。
一般住宅に使用される素材はトタンやガルバリウムが多いと思います。
下地に直接施工するので雨音が室内に伝わりやすい、金属なので熱伝導率が高く断熱性能が低いなどの弱点はありますが、
デザイン性があり、雨風に強く、施工しやすい、軽いなど利点が多く、
スレート屋根材に重ね葺き(カバー工法)できる事もあり、よく使われるようになりました。
スレート屋根材への重ね葺き(カバー工法)は、既存の屋根材の撤去費用・処分費用がかからないため、
葺き替えに比べて、大幅に費用を抑える事ができます。
ただし、重ね葺き(カバー工法)する事で、重量は増しますので注意が必要です。
また、既存のスレート材の劣化具合により、釘が打てないなどの理由から、重ね葺き(カバー工法)ができない場合もあります。
セメント系《プレスセメント・コンクリート》
セメント瓦や厚形スレートなど、最近ではあまり使われなくなった屋根材です。
表面に塗装を施しているため、経年劣化により、塗装がはがれてくるので、
その際には塗装工事が必要になります。
屋根材を選ぶ
屋根材によって特徴が違い、屋根の形によって向き不向きがあります。
それぞれの屋根材が、時代に合わせて改良されてきています。
新築や葺き替えの際、どんな屋根材を選べばよいか。
予算・好み・立地・環境など、何に重点を置くかによって、屋根材を選ぶ事が大切です。
また、屋根材ごとにメンテナンスの方法も変わってきますので、後で後悔しないために、
気になる事や、選ぶ屋根材のメンテナンス方法など、施工店に確認しましょう。